裁判例を検索・分析し、類型と実務への示唆を整理する
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本ページの手順は、以下の環境で動作を確認しています。
- Kari: バージョン 0.6.0 Windows
- AI プロバイダー: Anthropic Claude サブスクリプション
- モデル: Anthropic Opus 5 (1M)
ユースケースの説明
法務の実務を的確に進めるうえで、過去の裁判例を分析することは欠かせません。法律の専門家でなくても、裁判例に基づく事実の整理、論理的な分析、示唆の抽出・要約は、参考情報として有益です。
裁判所の「裁判例検索」システムは、過去の裁判例を一般に公開しています。ただし、事例を検索することはできても、判決文は PDF の形で提供されており、構造化されていません。利用規約上、判決文を自由に検索・ダウンロードできますが、分析には多大な時間を要します。
Kari の Browser 処理自動化の機能を活用すれば、ユーザーの代行として裁判例を検索・解読・分析・要約でき、検索から要約までを一つの流れで完結させられます。
シナリオ
ユーザーは、「パワーハラスメント」について過去の裁判例を調査したいと考えています。特に、どのような類型があるか、それぞれの類型で実務上どのような点が重要になるかを把握したいと考えています。
本事例では、裁判所の「裁判例検索」を対象に、直近5年分の裁判例を検索し、厚生労働省の6類型を軸にした整理と、実務への示唆を出力させます。
本ページで示す AI の出力は、Kari の動作例です。具体的な事案の判断については、弁護士等の専門家にご相談ください。
作業の準備
- 左のナビパネルの「Web ブラウザ」を開き、対象のページを表示します。
URL: https://www.courts.go.jp/hanrei/search1/index.html

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「検索条件指定画面」には、「統合検索」「最高裁判所」「高等裁判所」「下級裁判所(速報)」「行政事件」「労働事件」「知的財産事件」のタブがあります。本事例では「統合検索」を起点にします。
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「掲載判例の説明」を必ず読んでください。 このシステムに掲載されているのは、公開されている判決の一部です。全判決を網羅していないという前提は、後の分析の解釈に直接影響します。
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実際に検索語を1つ入れて検索し、結果の見え方を確認しておきます。裁判所名・裁判年月日・事件番号が一覧に表示されること、「全文」から判決文の PDF が開けることを把握しておくと、AI の報告を検証しやすくなります。
AI に作業を指示
- 検索条件、出力形式に加えて、統計分析の禁止・匿名化・引用時の併記・法的助言ではない旨の明記という4つの制約をまとめて、以下のように AI に作業を指示します。
今開いている裁判所の「裁判例検索」ページを起点に、職場のパワーハラスメントの裁判例を調べ、類型と判断のポイントを整理してください。
0. アクセス上の遵守事項
(1) Browserツールを使用し、Web Fetchツールを使わないこと。
(2) 閲覧のみ、書き込み操作はしないこと。
(3) リクエストは1件ずつ2秒以上空けて実行。検索は最大12回、開く判決文は最大30件。上限に達したらその範囲で報告。
(4) エラーやアクセス制限が出たら、回避せず中断して報告。
1. 検索条件
(1) 裁判年月日は直近5年以内。
(2) 検索語は判決文の語彙に合わせ、「パワーハラスメント」を軸に、適宜に関連用語と組み合わせる。
(3) ヒットが100件を超える検索は、条件を増やしてから見る。
2. 出力
(1) チャットの返信本文に、箇条書き+表で出力。
(2) 裁判例一覧の情報項目:裁判所名/裁判年月日/事件番号/被告区分(民間企業・国や自治体)/業種。
(3) 事件番号が確認できないものは一覧に入れず、「未確認」として別掲し、推測で補完しない。
(4) 類型表:厚労省の6類型(身体的な攻撃/精神的な攻撃/人間関係からの切り離し/過大な要求/過小な要求/個の侵害)を軸に、典型的な事実関係/違法性の判断要素/結論(認容・棄却)/認容額の幅。当てはまらないものは「その他」。
(5) 傾向・課題・示唆、および実行した検索条件とヒット件数。
3. その他注意事項
(1) 裁判例検索は全判決を網羅していないため、事件分布・推移・業界相関などの統計分析をしない。
(2) 匿名か処理: 被告企業名は書かず、業種・規模で記述する(国・自治体名は可)。当事者個人は「原告X」「上司A」等に匿名化する。
(3) 判決文を引用する際に、裁判所名・裁判年月日・事件番号を必ず併記。
(4) 冒頭に「本レポートは法的助言ではない」と記載。

この指示の組み立て方には、次のポイントがあります。
| 指示のブロック | ねらい |
|---|---|
| 0. アクセス上の遵守事項 | 間隔に加えて、検索は最大12回、判決文は最大30件という上限を数値で与えます。「上限に達したらその範囲で報告」と打ち切りを事前に許可しておくことで、無理に網羅しようとしたり、完遂したかのように報告したりすることを防ぎます。 |
| 1. 検索条件 | **「検索語は判決文の語彙に合わせ」**という指定が要点です。判決文で使われる語は日常語と異なることがあり、検索語を固定すると取りこぼします。正式表記と略語の両方を引かせます。 |
| 2. 出力 | 一覧の項目を固定し、(3) で「事件番号が確認できないものは推測で補完しない」と明示します。判例の特定情報は、それらしく生成されると検証が困難になるため、最も捏造を防ぐべき箇所です。(4) では厚生労働省の6類型という確立した外部の枠組みを軸に指定し、AI が独自の分類を作ることを避けます。 |
| 3. その他注意事項 | この事例で最も重要なブロックです。 (1) 網羅していない母集団から統計を出させない。(2) 企業名を書かせない。(3) 引用には必ず特定情報を併記させ、検証可能にする。(4) 冒頭に「法的助言ではない」と書かせる。 |
裁判例の分析では、もっともらしい誤りが最も危険です。 存在しない事件番号、実在するが内容の異なる判決、原文にない引用は、いずれも見た目では判別できません。指示の段階で特定情報の併記を義務づけ、出力後に原典と照合してください。
AI の作業結果を確認
- AI は検索画面のフォームを自分で操作し、キーワードと期間を設定して検索を実行します。処理中はツールの実行状況がセッションウィンドウに表示されます。

- 実行が終わると、まず「実行した検索条件とヒット件数」が表で出力されます。どう探したかが再現できる形で記録されます。

この例では、次のことが報告されています。
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検索は5回実行。「パワーハラスメント」で61件、「パワハラ」で45件がヒットし、和集合は約72件(重複多数)。いずれも100件以下だったため、条件追加による絞り込みは不要だった。
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検索語は判決文の用語に合わせ、正式表記と略語の双方を使用した。略語検索のみで拾える事案が11件あり、両方を引く必要があることが確認できた。
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続いて、判決文を精読した27件の裁判例一覧が出力されます。

「裁判所名」「裁判年月日」「事件番号」「被告区分」「業種」の5列で、1件ずつ原典に当たれる形になっています。あわせて、次の2点が明記されています。
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事件番号はすべて判決文本文で確認済みで、「未確認」として別掲すべき裁判例はゼロだった。
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被告企業名は記載せず業種・規模で示し、国・自治体名のみ実名で記載した。国立大学法人・地方独立行政法人・学校法人・社会福祉法人等は「国・自治体」ではないため匿名化した。
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次に、厚生労働省の6類型を軸にした類型表が出力されます(典型的な事実関係/違法性の判断要素/結論/認容額の幅)。
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最後に、傾向・課題・示唆がまとめられます。冒頭に、統計的な分析を行っていない旨の断りが置かれます。

判断枠組みが労働施策総合推進法30条の2の条文どおりに定着していること、3要素(優越性・必要相当性の逸脱・就業環境侵害)のうち争点になるのはほぼ第2要素であることが、逐語引用とともに示されています。引用にはいずれも裁判所名・裁判年月日・事件番号が併記されています。

この例では、パワハラの違法性は認めつつ自死との因果関係を否定して認容額が2桁変わるという構造が、最も顕著な争点として抽出されています。分水嶺として、行為の強度と継続期間、長時間労働との重畳、使用者が被害者の変調を認識していたかの3点が挙げられています。
- 実務への示唆は、「使用者側」「被害を訴える側」「両者共通」に分けて整理されます。

Human-in-the-loop のポイント
AI に任せきりにせず、次の点は人が確認してください。
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判例の特定情報を原典と照合する
裁判所名・裁判年月日・事件番号の3点が実在し、組み合わせが正しいかを、裁判例検索で1件ずつ確認してください。存在しない事件番号や、実在するが内容の異なる判決は、見た目では判別できません。 本例では27件すべてが特定できたと報告されていますが、その報告自体も検証の対象です。 -
逐語引用を判決文と照合する
引用は「全文」から PDF を開いて確認します。原文にない語句の追加、文の途中の省略、複数箇所の結合がないかを見てください。資料として外部に出す場合は、全件の照合が必要です。 -
件数を統計として読まない
裁判例検索は全判決を網羅していません。27件という母数は「このシステムに掲載され、この検索語で見つかり、精読された件数」であり、実際のパワーハラスメント訴訟の分布を示すものではありません。「◯◯業種に多い」「認容額は平均◯◯円」といった読み方はできません。指示で統計分析を禁じたのは、このためです。 -
検索語の網羅性を検討する
本例では、略語「パワハラ」だけで拾える事案が11件ありました。同様に「いじめ」「嫌がらせ」「職場環境配慮義務」など、別の語彙でしか現れない事案がある可能性があります。重要な調査では、検索条件一覧を見て追加の語を指示してください。 -
匿名化が守られているかを確認する
判決文中の企業名が、業種の説明や引用文に紛れ込んでいないかを確認してください。匿名化の判断(国立大学法人を「国・自治体」に含めるか等)が意図どおりかも見てください。 -
上限で打ち切られていないかを確認する
指示した上限(検索12回・判決文30件)に達した場合、調査は途中で止まります。本例では検索5回・精読27件で上限内でしたが、上限に達した旨の報告があれば、範囲を分けて再実行してください。 -
機微な事案の扱いに配慮する
本例のように、労働者の死亡に関わる事案が含まれることがあります。社内で共有する際は、当事者の匿名性と、記述の必要性を検討してください。 -
法的な判断には使わない
AI が整理した類型や示唆は、判決文の記述から読み取れる範囲の整理です。具体的な事案の見通しや対応の判断は、弁護士等の専門家にご相談ください。
使用する LLM により、類型の切り分けや示唆の抽出が変わることがあります。引用と判例の特定情報は、必ず原典と突き合わせて確認してください。
参考資料
本ページの手順では、例示のために以下の公開システムを利用しています。画面キャプチャは出所を明示した上で引用として掲載しています。AI が出力した裁判例一覧・類型の整理・実務への示唆は、GotoAI が Kari の動作例として生成したものであり、裁判所が作成・公表したものではありません。
- 資料名: 裁判例検索(統合検索)
- 提供元: 裁判所(最高裁判所)
- URL: https://www.courts.go.jp/hanrei/search1/index.html
- 閲覧日: 2026年9月18日
- 利用条件: 同ウェブサイトの利用案内に従い、出所を明示して引用しています。同システムに掲載されている裁判例は、公開されている判決の一部であり、全判決を網羅するものではありません。
- 本ページの内容は法的助言ではありません。 具体的な事案の判断については、弁護士等の専門家にご相談ください。
- 本サイトで引用した外部の情報は、Kari の利用例を説明するためのものです。それらの情報の正確性や最新性について、本サイトは保証しません。引用元の内容は予告なく変更・削除されることがあります。
- 本サイトで示した AI の出力は、記載の検証環境で実際に得られたものです。ただし、その出力の正確性や有用性について、本サイトは保証しません。AI の出力は、使用する LLM や設定、実行のたびに変わることがあります。
- **裁判例検索に掲載されている裁判例は全判決を網羅するものではありません。**本ページに示した件数から、統計的な傾向を導くことはできません。
- 判例の特定情報(裁判所名・裁判年月日・事件番号)および逐語引用は、必ず原典の判決文と照合してください。AI の出力には、もっともらしい誤りが含まれうるものとして扱ってください。
- 本ページで引用した事案には、労働者の死亡に関するものが含まれます。当事者への配慮から、企業名および個人名は記載していません。
- 画面キャプチャは、掲載時点のバージョンの Kari で取得したものです。お使いのバージョンでは表示が異なる場合があります。
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