Kari の AI エージェントで、国籍・地域別で来訪者数トレンドの可視化と示唆出しを自動化させる
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本事例の手順は、以下の環境で動作を確認しています。
- Kari: バージョン 0.7.3 Windows
- AI プロバイダー: Anthropic Claude サブスクリプション
- モデル: Claude Opus 5.5 High
説明
前のページで、分析の土台となるファクトテーブルができました。ここからはデータ分析の本題に入ります。
最初に見るのは 来訪者数 です。誰が、どれだけ来ているのかを押さえておく分析です。
このページの作業には、2つのタスクがあります。
| 内容 | |
|---|---|
| 可視化 | 31ヶ月分の推移を、国籍・地域の積み上げで1枚のチャートにする |
| 示唆出し | そのチャートの元データを AI 自身に読ませ、トレンドと示唆を言語化させる |
後者がこのページの要点です。チャートは「何が起きたか」を見せますが、「それが何を意味するか」 という示唆出しは分析の真のアウトプットです。チャート作成も、示唆出しも、AI に任せられます。
前のページで、四半期の消費単価を月に複製したことに注意が必要だと述べました。
ただし 人数の3列(訪日外客数・クルーズ客数・一般客数)は、いずれも月次のデータです。複製されていません。したがって、人数の月次推移は正しく分析できます。 同じファクトテーブルでも、列によって使える粒度が違う点に注意してください。
「来訪者数」として何を数えるか
ファクトテーブルには人数の列が3つあります。このページでは 一般客数(訪日外客数からクルーズ客数を差し引いた人数)を主役にします。
理由は2つあります。
- 次のページの消費総額と、同じ母数で語れるから。 消費総額は「1人あたり旅行支出 × 一般客数」で試算します。人数のページだけ訪日外客数で語ると、2つのページの数字が噛み合いません
- クルーズ客と陸路・空路の来訪者は、行動が違うから。 船で寄港して数時間滞在する人と、宿を取って滞在する人を同じ1人として足すと、市場の見え方が歪みます
以降、このページで「来訪者数」と書いたものはすべて一般客数です。
AI に作業を指示
- 期間・除外条件・集計・チャート・示唆出しまでをまとめて指示します。
データフロー「データコレクション2:インバウンドファクトデータ」を用い、インバウンド来訪者数の構成推移を分析して可視化する。
1. 2024年1月から、一般客数が算出できる最新月までにする。
2. 1人あたり旅行支出の欠損値ありの月の数が全体の半分以上の国籍・地域のキーを除外する。
3. 月別の一般客数の推移を集計し、データフロー「インバウンド来訪者数月推移」として保存する。
4. 月を横軸とし、一般客数の積み上げ縦棒グラフを作成する。
5. データフロー「インバウンド来訪者数月推移」をもとに、来訪者数のトレンド、得られる示唆などをまとめてチャットで出力する。

この指示の組み立て方には、次のポイントがあります。
| 指示のブロック | ねらい |
|---|---|
| 1. 期間の指定 | 「一般客数が算出できる最新月まで」と、条件で指定します。ファクトテーブルの終端は2026年8月ですが、クルーズ客数は7月までしかありません。「最新月」とだけ書くと、クルーズ客が引かれていない8月が混ざります。 |
| 2. 欠損による除外 | 欠損の多いキーを機械的に落とします。 全31ヶ月の半分以上で1人あたり旅行支出が欠けている国籍・地域は、後続の消費額分析で使えません。先に揃えておくという判断です。 |
| 3. 集計結果をデータフローに保存 | チャートを描くだけでなく、集計結果を残させます。 次の手順5で AI がこれを読み直します。 |
| 4. チャートの形を指定 | 「月を横軸、積み上げ縦棒」と指定します。構成の推移を見るための形です。 |
| 5. トレンドと示唆の出力 | ここがこのページの主目的です。 作ったデータフローを AI 自身に読ませ、言語化させます。 |
手順3でデータフローに保存させてから、手順5でそれを読ませている点に注目してください。チャートの画像だけを見て感想を述べさせるのではなく、数値そのものを読み直させる構成になっています。これにより、累計や構成比といった「チャートには描かれていない数字」まで扱えます。
ファクトテーブルの3つのデータは、揃っている最後の月が違います。
| 列 | 最後の月 |
|---|---|
| 訪日外客数 | 2026年8月 |
| クルーズ客数 | 2026年7月 |
| 1人あたり旅行支出 | 2026年4-6月期 |
ここで「2026年8月まで」とすると、8月だけはクルーズ客が引かれていない一般客数(=訪日外客数そのもの)が混ざります。前のページで AI が Null にしていた箇所です。Null のまま集計されれば月計が欠け、0 とみなされれば8月だけ過大になります。
指示 1 を「一般客数が算出できる最新月まで」と条件で書いているのは、このためです。
作成されたチャートを確認する

データフロー「インバウンド来訪者数月推移」は 620行。2024年1月から2026年7月までの 31ヶ月 × 20国籍・地域 です。
列は 年月 国籍・地域 一般客数 と、指示になかった 月内構成比 です。前のページの 調査期間 と同じで、AI が後から追えるようにした列です。積み上げチャートの各ブロックが全体の何%にあたるかが、数値としても残ります。
チャートのノートに、定義と除外の経緯が1段落で書かれています。
一般客数 = 訪日外客数 − クルーズ客数(船舶観光上陸許可の全国総数)。期間は2024年1月〜2026年7月(一般客数が算出できる最新月)。1人あたり旅行支出の欠損月が対象31か月の半分以上を占めるメキシコを除外した20の国籍・地域。積み上げは期間合計の多い順。出典: 訪日外客数(JNTO)、船舶観光上陸許可、インバウンド消費動向調査。
チャート1枚で3つのことが分かります。縦軸が何を数えた人数か(クルーズ客を引いた一般客数)、なぜ7月で切れているか、21キーのうちどれが落ちたか。指示に書いた条件が、そのまま読み手への説明になっています。
前のページのファクトテーブルは21国籍・地域でした。指示2によってメキシコ1件が除外され、20件になっています。何件が、なぜ落ちたかが明示されているため、行数の差を追えます。
積み上げの順序が「期間合計の多い順」になっているため、下から順に主要市場が並びます。凡例の先頭は韓国・台湾・中国・米国・香港です。
メキシコは2026年から消費動向調査の区分に追加された国です。2024年1月から2025年12月までの24ヶ月は、1人あたり旅行支出が存在しません。31ヶ月のうち25ヶ月が欠損なので、指示2の条件(半分以上)に該当します。
一方ロシアは、2024年1-3月期の3ヶ月だけが欠損です。半分には遠く届かないため残ります。同じ「欠損がある国」でも、欠損の量で扱いが分かれます。
人数のデータはメキシコにも全月あります。来訪者数だけを見る分析なら、除外しない選択もありえます。 ここでは次のページの消費額分析と対象をそろえるために落としています。
AI の分析と示唆を読む

AI の回答は5つの観察で構成されています。
1. 総数は伸びが止まり、「高原状態」に入った
20区分計の12か月移動合計は2024年12月の 3,370万人から2025年12月の 3,864万人まで一本調子に増えたが、2026年に入って 3,850〜3,891万人で横ばい。1-7月累計で見ると2025年は前年比 +17.0%、2026年は 2,261万人で前年比 −0.1% と完全に頭打ち。回復フェーズの終了を示す。
2つの見方を併用している点に注目してください。12か月移動合計は季節性を消して水準を見る指標、1-7月累計は年どうしを同じ月数でそろえる指標です。前者で「増加が止まった時期」を特定し、後者で「前年比ほぼゼロ」を確かめています。
2026年は7月までしかないため、年計同士で比べれば2026年だけが5ヶ月分少なくなります。3年とも1-7月にそろえる処理は必須です。
2. 停滞の正体は中国の急減、それ以外は伸び続けている
ここが、このページでいちばん価値のある分析です。
総数の横ばいは市場全体の失速ではなく、中国1市場の落ち込みが他の伸びを打ち消した結果。
1-7月累計 2024 2025 2026 26/25 東アジア(韓・台・中・香) 1,351万 1,560万 1,505万 −3.6% 東南アジア+インド 252万 290万 316万 +8.9% 欧米豪ほか 330万 412万 441万 +6.9% 中国は2025年8月の88.1万人をピークに急落し、2025年12月に32.0万人、2026年は月30〜42万人で定着。1-7月累計は501万人→243万人(−51.4%)、構成比22.2%→10.8%と約11ポイント失った。約258万人の減少を、韓国(+111万人)・台湾(+79万人)・その他の伸びがほぼ正確に埋めている。
全体の −0.1% という見出しの数字だけを見れば「インバウンドは頭打ち」と読めます。しかし3つのブロックに分けると、東アジア以外は伸び続けており、中国1市場の −258万人を他が埋めた結果として横ばいになっていました。合計値が内訳を隠している典型例です。
指示していないのに、AI は地域ブロックを自分で作っています。20キーを個別に並べれば「どれも動いている」としか見えません。3つにまとめたことで、減っているのは1ブロックだけという構図が出ました。
3. 構成の重心が韓国・台湾へ回帰
2026年1-7月の構成比は韓国 28.9%(+2.1pt vs 2024)、台湾 20.0%(+2.4pt)で、近距離2市場で約半分。2025年Q3には中国が 26.8%で最大系列だったが、2026年Q1以降は10%台前半まで下がり、積み上げの構成が入れ替わった。
「1年前には中国が最大だった」という事実が添えられています。チャートの色の並びが入れ替わったことの意味が、数字で裏づけられました。
近距離2市場で約半分という状態は、中国に依存していた頃と集中の度合いが変わっていないことも意味します。
4. 伸び率の高いのは小規模市場、ただし絶対量は小さい
2024→2026の1-7月比較で、ロシア +141%、インド +69%、スペイン +58%、マレーシア +52%。ただし各 1.7%以下のシェアで、全体の数量を動かす規模にはまだない。一方で欧米豪ほかは合計 19.5%のシェアを占め、+33.6%と安定成長。
「成長市場が穴を埋める」という話を、規模で検算して否定しています。伸び率の高さと、量としての貢献は別だという整理です。
そのうえで、まとめれば19.5%になるという見方も示されています。個々には小さくても、ブロックとしては無視できない規模です。同じデータを2通りに切って、両方の結論を出している箇所です。
5. 季節変動が小さくなり、月次の平準化が進んだ
月次合計の変動係数は2024年 0.074 → 2025年 0.068 → 2026年1-7月 0.051。中国の団体需要(夏季に偏る)が抜け、韓国・台湾・欧米の通年型需要の比重が上がったため。2024年9月の258万人のような谷が消え、2026年は 291〜340万人のレンジに収まっている。
チャートの棒の高さがそろってきていることを、変動係数という1つの数字にしています。目で見て「最近は平らだ」と言うのではなく、計算で示している点が重要です。
さらに、平準化の理由まで結びつけています。観察2で「中国が減った」と述べ、ここで「中国の需要は夏に偏っていた」とつなぐことで、1つの変化が2つの現象を説明する形になっています。
変動が小さくなれば、稼働の計画は立てやすくなります。一方で、繁忙期の山が低くなったとも読めます。
AI はここで価値判断をしていません。「平準化が進んだ」という事実だけを述べ、それが好ましいかどうかは読み手に委ねています。 示唆を求める指示を出しても、データから言えないことは言わない——この線引きを確認してください。
Human-in-the-loop のポイント
AI に任せきりにせず、次の点は人が確認してください。
-
「来訪者数」が何を数えた人数かを明示する
このページの数字はすべて一般客数(訪日外客数からクルーズ客数を引いた人数)です。公表されている訪日外客数とは一致しません。数字を引用する際は、必ず定義を添えてください。 チャートのノートが定義から書き出しているのは、このためです。 -
構成比は「20キーの中での」比率である
メキシコを除外し、さらにファクトテーブルの時点で合計行(総数・アジア計など)も落としています。したがって 「韓国28.9%」は訪日外客全体に対する比率ではありません。 20の国籍・地域の合計を分母とした比率です。対外的に数字を引用する場合は、この分母を明示してください。 -
期間をそろえた比較になっているか確認する
2026年は7月までしかありません。本例では AI が3年とも1-7月累計にそろえていますが、この処理が行われているかを必ず確認してください。 年計同士で比べると、2026年だけが5ヶ月分少ない数字になります。 -
除外されたキーと、その理由を確認する
メキシコは「1人あたり旅行支出の欠損が全31ヶ月の半分以上」という理由で落ちています。来訪者数のデータは存在するのに、支出データの都合で除外されている点に注意してください。 -
AI が作ったブロックの区切りを点検する
観察2の「東アジア/東南アジア+インド/欧米豪ほか」という3区分は、指示にはなく AI が決めたものです。区切り方を変えれば結論の見え方も変わります。どのキーがどのブロックに入ったかを確かめてください。 -
「中国の急落」の原因は、データの外で裏を取る
AI は2025年8月から2025年12月にかけての急落を数字で示していますが、その理由はデータの中にありません。 政策・運航・為替などの要因は、報道や公表資料で裏付けを取ってから結論に用いてください。 -
伸び率と規模を混同しない
「ロシア +141%」と「中国 −51.4%」は、率としては同じ土俵に見えます。しかし実数では桁が違います。率の高い市場が、量として代替になるとは限りません。 観察4がこの検算をしています。 -
季節性を考慮して水準を判断する
単月の増減には季節要因が含まれます。観察5が示すとおり、季節性の大きさ自体も年によって変わります。 前年同月比で見るか、移動平均で均してください。 -
人数以外の列には、別の制約がある
このファクトテーブルの消費単価は四半期の値を月に複製したものです。人数の分析がうまくいったからといって、同じ粒度で単価を論じることはできません。
使用する LLM により、着目する観点や示唆の深さが大きく変わります。報告された数字は、必ずデータフローの値と突き合わせて確認してください。 特に累計・構成比・前年同期比は、チャートには描かれていない計算結果です。
参考資料
本ページで分析しているデータは、前のページまでで取得・解析・結合した3つの公開データです。画面キャプチャは出所を明示した上で引用として掲載しています。AI が算出した集計値・トレンドの解釈・示唆は、GotoAI が Kari の動作例として生成したものであり、観光庁・日本政府観光局・法務省が作成・公表したものではありません。
消費動向データ
- 資料名: インバウンド消費動向調査(旧 訪日外国人消費動向調査)「参考2 国籍・地域別 費目別1人1回当たり旅行消費単価(パッケージツアー参加費内訳含む)」
- 提供元: 観光庁(国土交通省)
- URL: https://www.mlit.go.jp/kankocho/tokei_hakusyo/gaikokujinshohidoko.html
- 閲覧日: 2026年10月15日
- 利用条件: 同ウェブサイトの利用規約に従います。出典:国土交通省ウェブサイト(上記 URL)。
訪日外客数データ
- 資料名: 訪日外客統計「国籍/月別 訪日外客数」(時系列推移表)
- 提供元: 日本政府観光局(JNTO)
- URL: https://www.jnto.go.jp/statistics/data/visitors-statistics/
- 閲覧日: 2026年10月15日
- 利用条件: 同局の定めにより、出典元として「日本政府観光局(JNTO)」を明記のうえ利用しています。
クルーズ客数データ
- 資料名: 出入国管理統計「港別 船舶観光上陸許可を受けた外国人の国籍・地域」(月次表)
- 提供元: 法務省(出入国在留管理庁)/政府統計の総合窓口(e-Stat)
- URL: https://www.e-stat.go.jp/stat-search/files?toukei=00250011
- 閲覧日: 2026年10月16日
- 利用条件: 同サイトの利用規約に従います。出典:法務省「出入国管理統計」。
- 本サイトで引用した外部の情報は、Kari の利用例を説明するためのものです。それらの情報の正確性や最新性について、本サイトは保証しません。引用元の内容は予告なく変更・削除されることがあります。
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- 本事例は Kari の動作を示す例示であり、算出される数値は観光庁の公表数値と異なる可能性があります。
- 本ページの「一般客数」は「訪日外客数 − 船舶観光上陸許可数」で求めた近似値であり、観光庁の推計と一致する保証はありません。
- 本ページの構成比は、分析対象とした20の国籍・地域の合計を分母としたものです。 訪日外客全体に対する比率ではありません。
- 本ページで示した市場動向の解釈および示唆は、AI が本データから生成したものです。 その因果関係や背景について、本サイトは検証していません。事業上の判断に用いる場合は、必ず一次資料および他の情報源と照合してください。
- 2026年のデータは7月までの部分期間です。年単位の比較には期間をそろえる処理が必要です。
- 画面キャプチャは、掲載時点のバージョンの Kari で取得したものです。お使いのバージョンでは表示が異なる場合があります。
- 引用元の各機関・団体は、本サイトおよび Kari と提携・推奨関係にはありません。